「人権教育は大切だ。」とよく聞くけれど、実際何のためにするんだろう。差別のことを学校で教えるから、差別が起きるんじゃないの?
「人権教育って何のためにするんだろう」このような疑問を抱いたことはありませんか。
私が教員になって初めて「人権教育をする」となった時、人権教育をする意味が分からずにいました。
様々な人権課題について子どもたちと話し合いをするのですが、「人権課題を伝えることで、差別が再燃しないか。」という誤った認識もありました。
しかし、その考えは大きく間違っていることに、人権教育を学べば学ぶほど気づくことができました。
今回の記事では、ババロアが人権教育を進めていくことで人権教育に対してどのような考えになっていったのか「人権教育」について考えていきたいと思います。
・ババロアなりの人権教育をする理由が理解できます。
・人権教育を学びなおすキッカケになれば嬉しいです。
そもそも人権教育とは
人権教育ってなぜすると思いますか?知らなくても良いことだと思っていませんか?
子どもたちに人権教育をする時、「人権のことなんて知らなくても生きていける」という声を耳にします。本当にそうでしょうか?
たしかに入試の問題には出てきません。知識に対する評価もありません。
しかし、人権についての知識があるだけで自分の命を守る(大切にする)ことに繋がります。
これだけ聞いてもピンとこないと思うので、まずは人権教育の主要な内容を紹介していきます。
部落問題に対する学習
部落(同和地区)と呼ばれる場所に住んでいる人々(産まれた人々)を差別し、平等ではない扱いをする、昔から日本にある問題です。
現在の日本でも根強く残っていて、特に高齢の方に差別意識が強くあります。
就職差別や結婚差別にも繋がっていて、日本の大きな課題の一つといえるでしょう。
部落問題が発生したきっかけを学ぶことや、差別の不当性を学習する必要があります。
障がい者差別に対する学習
健常者から障がい者に対する差別です。障がい者やその家族の目線に合わせることができない人々から生まれる差別とも言えます。
障がいと一言で言っても多様であり、LDや自閉症、肢体不自由などそれぞれの障がいに対して差別があります。
障がいの特徴を理解していないがために、障がい者が就職時に差別を受けたり、日常生活において差別を受けたりします。
障がいに対する知識を正確につけ、ユニバーサルな考え方ができる子どもを一人でも多く育てていきたいですね。
在日外国人問題に対する学習
様々な理由で日本に住んでいる(住まざるを得ない)外国人に対する差別です。
在日コリアンなどの外国人に対する差別がよく聞かれ、差別をする側の人々は「なぜ在日コリアンが日本に住んでいるのか」を理解していないことが多くあります。
「なぜ日本に住んでいるのか」を歴史から学習し、その理由を考えていきたいです。
LGBTに対する学習
L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)に対する差別です。
「男性は女性を好み、女性は男性を好む」といった考えが一般化することで、LGBTに対して差別意識を持つ人が多くいます(特に日本は多い)。
心の性、体の性、好きになる性、、、多様な性のあり方をしっかりと学習することで、LGBTに対する差別は減ると考えらます。
人権教育をなぜするのか
自分には関係ないし、知らなくてもいいんじゃない?
「自分に関係ない」と言い切ることはできません。
「これから出会う人々の中に、差別を受けている人がいないとは限りませんよね?」
適切な知識や自分の思いがなければ、気づいたときには自分自身が差別をする側になっていることもあります。
「これから、自分自身が差別を受ける立場になるかもしれませんよね?」
差別を受けてしまった時、何も知らない状態では差別と立ち向かうことができません。
熱心に差別と立ち向かった人も差別に負けてしまい、命を落としてしまうことがあります。
「これから結婚する人が差別を受けていたら?」
たとえば結婚する人が差別を受け、結婚を許してもらえなかったらどうしますか。
「そうだよね」と認めて自分も差別してしまうのか、「いや、絶対におかしい」と差別に立ち向かうのか。。大きく人生は変わります。
私が人権教育を大切にしてきた理由は子どもたちの命を守るためです。
しっかりとした知識や人権感覚があれば、差別に負けて命を落とすことはありません(少なくとも減らすことができます)。
だからこそ、目の前の子どもに本気で人権教育をしてきました。
適切な知識を伝え、みんなで考え、人権感覚を育ててきました(私自身も育ててもらいました。)
私の人権教育をする理由は、「目の前の子どもの命を守る」これに尽きます。
まとめ
人権教育は評価されるものでもなく、簡単なものでもありません。
だからこそ、教育者には人権教育に関する知識と優れた人権感覚が必要になってきます。
指導書に書いてある進め方だけでなく、実際に差別を見て感じて、その時の思いを子どもたちに伝えてあげてください。
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